【中木】 ライラック Syringa vulgaris 〈落葉広葉樹〉
以前、千葉に住んでいた頃は
ライラックの花はいわば
「憧れ」の存在でした。
千葉では夏場の気温の高さで
ライラックの株が疲れ、
育ちこそすれ、
なかなか良い状態の株姿になりませんでした。
しかし、茨城県南エリアは
千葉より寒い。
ですので、ライラックが
より育てやすい環境です。
中木ですが、シンボルツリーにもおすすめの
ライラックをご紹介します。
ライラッックはバルカン半島原産。
岩場に生育し、自生地では
樹高6~7mほどになります。
茨城県南では、2~3m程度に育ちます。
日本でライラックといえば、
真っ先に思いつくのは北海道ですよね。
札幌では毎年「ライラックまつり」が開催され、
今年で61回の開催となったそうです。
明治23年にサラ・C・スミス女史が
故郷アメリカから携えてきたライラック。
北大付属植物園に
今もその原木が元気に育っています。
気になるのはやはり耐暑性。
北海道ではごく普通に見られる
ライラックですが、
これまで、通常のライラックの品種では
東北や関東の山間部が
健全に生育する南限とされてきました。
しかし近年では、
耐暑性に優れたライラックも
作出されています。
‘ラベンダーレディ’や‘
エンジェルホワイト’などの品種は
茨城県南エリアでは
健全に夏越しできます。
しかしそれらの品種に頼らずとも、
ライラックは生育環境を整えれば、
茨城県でも元気に育ちます。
上の写真は千葉・印西市で撮影した
ライラックです。
端正に手入れされ、
立派に育ったライラック。
つい塀越しに写真を撮りました。
ポイントは、このライラックが
敷地の西側に高く積まれた
石塀のすぐ脇に育っているということ。
つまり、根元をはじめ、株の下半分は
完全に西日を受けず、
ひんやりとしているという微気象条件です。
このような環境であれば、
千葉県でも立派にライラックが育つのですね。
上の写真は
龍ケ崎市内で撮影したライラックです。
少し下枝が落ちていますが、
立派に育っています。
周囲には何も遮るものがなく、
風通しが良いのもポイントだと思います。
また、このライラックの紹介ページの
トップと2枚目の写真は、
筑波実験植物園で撮影したものです。
日当たりが抜群ではない場所に
植えられているため、
花付きや樹形はイマイチでしたが、
立派に咲き誇っていました。
ライラックは
日当たりと水はけのよい場所を好みます。
そして西日を避け、風通しを良くします。
西日が当たらない場所でも、
株元には低木や大型の宿根草を植え付けると
株元の地温を抑えられます。
花は香水の原料になるほどの
爽やかで素晴らしい香り。
お庭に1本ライラックがあると
春の庭が良い香りに包まれます。
また、上の写真のように
通常ライラックの花弁は4枚ですが、
まれに5枚の場合があり、
これは「ハッピーライラック」
と呼ばれています。
5弁のライラックを見つけた人は、
見つけたことを誰にも言わずに
その花を飲み込むと
愛する人と永遠に幸せに過ごせる、
という言い伝え。
春先にはこのハッピーライラックの画像が
インスタグラムに
たくさん投稿されていました。
是非、お庭にライラックを植えた際は、
ハッピーライラック、
探してみてください、ひっそりと。