【中木】 ナツロウバイ Sinocalycanthus chinensis 〈落葉広葉樹〉
ピンクのナツツバキの品種かな?と
花をぱっと見ると思われる方も
いらっしゃるかもしれません。
花の咲く時期もほぼ同じ(5~6月)です。
こちらは「ナツロウバイ」という落葉中木。
とても儚く、上品な印象の花姿ですね。
ほんのりと淡い桃色を帯び、
少し俯き加減で咲く控えめな花姿。
茶花に用いられる理由もよくわかります。
しかし「ロウバイ」と名前が付いていますが、
あの冬に咲く鮮やかな黄色のロウバイとは
ずいぶん趣を異にしますね。
ナツロウバイの原産地は中国東部。
樹高は大きなもので3mほどですが、
1~2mのものを多く見かけます。
上の写真は筑波実験植物園の
ナツロウバイの大木です。
立派な大木、樹高は3mほどあります。
地際からたくさんの細い幹を出し、
こんもりとした株姿となっています。
植えられている場所は広い中庭の半日陰。
ゆっくりと、
ここまで大きくなったのでしょう。
葉はやや大ぶりですが、
花の直径も10cm弱ほどありますので、
よいバランスだと思います。
若干葉に光沢があり、
明るい印象です。
紅花のヤマシャクヤクのようにも見える、
とても愛らしい蕾の姿。
開花した姿に引けをとらない美しさです。
花は咲き進むと
淡桃色から白へと変化します。
花の中心部にも
淡い黄色の花弁のようなものが
ふんわりと並びます。
花色自体に華やかさはありませんが、
見れば見るほど、
繊細で味わい深い花姿です。
今シーズン開花の時期でもまだ、
昨年の実が枝に残っていました。
このフォルムを見ると、
本家(?)のロウバイと似ていて
ああ仲間なのだな、と納得できます。
ナツロウバイを植え付ける際は、
日向~半日陰の
水はけのよい場所が良いでしょう。
花は大ぶりで比較的傷みやすいので、
風が常時吹き付ける場所などは
避けた方が良いと思います。
性質は強靭、
生長は比較的ゆっくりですので
根付くまで水を切らさなければ、
その後殆ど手間はかかりません。
剪定を行う際は、
花後すぐに弱い剪定に行いましょう。
花芽は夏に形成されますので、お早めに。
控えめですが趣のあるナツロウバイの花。
残念ながら、
ロウバイのように芳香はありませんが
是非お手元でじっくりと
楽しんでいただきたい逸品です。