【中木】 ダンコウバイ Lindera obtusiloba Blume 〈落葉広葉樹〉
「『えら』の張った、かわいい手」
という表現、無茶苦茶ですが、
個人的にはそのようなイメージです。
今回ご紹介するダンコウバイ、
紅葉も早春の花もとても魅力的ですが
それ以外の時期、
この独特の葉のフォルムが
庭の雰囲気を和らげてくれます。
なんともユーモラスで
可愛らしいフォルムの葉!
同じクスノキ科シロモジ属の
「シロモジ」も葉が3裂しますが、
ダンコウバイの方が
全体的に丸みを帯びた葉で、
やや内側に向かって3裂します。
一方、シロモジはややシャープな印象。
外側に向かって3裂します。
↓ シロモジを紹介したページはこちら。
https://lia-garden.com/plants/2021/article-1252/?preview_id=1252&preview_nonce=ba88eb2733&preview=true
ダンコウバイの原産地は
日本、朝鮮半島、中国。
関東より西の山地の斜面や
落葉樹林内にみられる落葉中木です。
クロモジ属であることから、
やはり枝を手折るとよい香りがします。
上の写真は
筑波実験植物園のダンコウバイです。
花は3~4月頃に開花します。
(今年は筑波植物園で
花の写真を撮り損ね、
新芽の季節になっていました…)
葉が茂ると
上の写真のような雰囲気になります。
剪定せずに長年自然樹形で育てると、
このように横に広く枝を伸ばし、
ふんわりと育ちます。
樹高は2~5m程度。
シンボルツリーというよりは、
準主役で楽しむタイプの
樹種かもしれません。
早春の黄色い花は
本当に青空に映えて清々しいです。
ひとつひとつの花は小さいのですが、
5~10輪程度の花がぎゅっと密集し、
それが一つの花のように
枝にポンポンと付きます。
ダンコウバイの花の集まりには
「柄」がありません。
その状態で密集するので、
ぎゅっとひとまとまりの花のように見えます。
一方、よくダンコウバイと
花を比較される
「アブラチャン Lindera praecox 」
という植物があります。
同じクスノキ科クロモジ属で、
花はやはり早春に開花し、
一見ダンコウバイの花に似ています。
上の写真はアブラチャンの花です。
鮮やかな黄色といい、
小さな花のフォルムといい、
似ていますよね。
しかし、丸く青線で囲った箇所に
「花序柄」があります。
花序柄がないのがダンコウバイ、
あるのがアブラチャンです。
話が逸れましたが、
更にダンコウバイの魅力で
忘れてはならないのが秋の黄葉です。
クリアな黄色、
これは一見の価値あり。
植え付ける場所は
日向~半日陰が良いでしょう。
日向の方が秋の黄葉が美しくなります。
株元が乾燥しないように、
低木を添えたり
マルチングを施すと尚良し、です。
剪定を行う場合は落葉後、
早めに行うのが良いと思います。
早春の鮮やかな花、
秋の鮮やかな黄葉、
そして可愛らしい葉姿。
ダンコウバイ、おすすめの逸品です。