【中木】 カラタネオガタマ Michelia figo 〈常緑広葉樹〉
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比較的、小ぶりで地味な花姿ではあります。
ですが、存在感は抜群です。
開花時にはバナナのような、
濃厚な香りが一面に漂います。
そんな一風変わった中木、
カラタネオガタマをご紹介します。
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漢字で表記すると「唐種招霊」。
神道の「招霊(おぎたま)」が
名前の由来です。
日本神話に登場する天鈿女命が、
日本に自生するオガタマノキ
(Michelia compressa)を持ち、
天岩戸の前で舞った、
とされています。
日本では「榊(サカキ)」を
神前に供える風習がありますが、
サカキが自生していない地域では
代用品として
オガタマノキを捧げるそうです。
神聖な意味合いを持った木なんですね。
そして、そのオガタマノキの
中国原産バージョンが
「カラタネオガタマ」。
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カラタネオガタマの最大の特徴は、
やはりその花の香りでしょう。
バナナが熟したような、
濃厚な香りは、
遠くからでもその存在が
わかるほどです。
花は比較的小ぶりで
派手な色味でないため、
まず香りで気づき、花を探す。
「カラタネオガタマあるある」
だと思います。
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花弁は厚みがあり、
縁がほんのりと紅紫色に染まります。
個々の花の寿命は2日程度で、
花弁がはらはらと散っていきます。
その姿もまた「もののあはれ」、
しみじみとした趣があります。
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そしてこちらが、
近年人気の‘ポートワイン’という品種です。
カラタネオガタマそのものよりもむしろ、
ホームセンターや通販では
‘ポートワイン’の方が主流です。
ほんのりとワイン色に染まる花姿、
こちらも上品で趣がありますね。
カラタネオガタマはモクレン科の常緑樹。
モクレン科の花は
その花弁ももちろん魅力的ですが、
「柱頭」や「葯」といった、
花の中心部の構造がとても不思議で
惹きつけられるビジュアルです。
上の写真でも
ちらりと柱頭と葯が見えていますが、
もしカラタネオガタマをはじめ、
モクレン科の花を
見かけることがありましたら、
是非花の内側をじっくり
覗いてみてください。
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ちなみに、開花した花の様子から
先にご紹介しましたが、
カラタネオガタマの蕾は
ふさふさの茶色い毛に覆われていて、
まるで小動物のようです。
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自然樹形で育てると、
上の写真のように
樹形は楕円形に整います。
生長も比較的ゆっくりですので、
頻繁に剪定を行う必要はありません。
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性質はとても強く、
病虫害も殆ど見られません。
日向でも半日陰でもよく育ちます。
耐寒性も耐暑性もありますので、
茨城県南エリアでは
問題なく育てることができます。
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上の写真は
カラタネオガタマの低い生垣です。
低く仕立てなくても、
通常の高さの生垣に仕立てても
良いと思います。
花期はまさに今、5月頃。
ふんわりと生垣から漂う甘い香り、
素敵ですよね。
カラタネオガタマ、
常緑でしっかりと育ちます。
一家に1本、
植えて損はないと思いますよ。