【メインツリー】 カツラ Cercidiphyllum japonicum 〈落葉広葉樹〉
新緑まぶしい今日この頃。
どこを散歩しても気持ちいですね。
今回ご紹介するのは、
その愛らしい葉のフォルムが人気の
カツラです。
丸みを帯びたハート型の葉、
見るたびに心が安らぎます。
公園や街路樹で見かけるカツラですが、
実は古代より逞しく生き残ったレジェンド。
カツラの花粉の化石は、
白亜紀の地層から発見されています。
よくぞこの時代まで…
と思わず拝みたくなります。
日本各地の山地の谷沿いなどに
自生するカツラ。
自生地では稀にですが、
幹の直径が2mにもなる大木に。
庭木では2~3mの株が流通しています。
青空にカツラのシルエット、
よく映えますね。
庭木では単木よりも株立ちでの流通が
多いと思います。
花は4月頃開花しますが、
とても原始的な構造で華やかさはあまりなく、
しかも雌雄異株です。
やはりカツラはその愛らしい葉の姿こそ!
新緑もまた素晴らしいです。
淡く小さな葉が陽射しに透ける姿は
本当に惚れ惚れします。
夏の葉姿も涼しげで爽やかです。
丸い葉が風に揺れて
何とも微笑ましいです。
そして秋のカツラはまた素晴らしい!
葉は美しい黄色に染まります。
葉裏が若干白みを帯びているので、
黄葉の色がソフトな色合いに。
秋のカツラと青空、文句なしの美しさ。
個人的には秋に葉が黄色に染まる樹木では
カツラが最も好きです。
秋のカツラ、もう一つ
素晴らしい特徴があります。
葉が黄色に染まる頃、
砂糖を煮詰めたような甘い香りが
カツラから漂ってくるのです。
この匂いを嗅ぐと、
あ~秋だなあ、としみじみ感じます。
カツラの葉には
「マルトール」という
香気成分が含まれているそうで、
新鮮な葉からは香らず、
乾燥した葉からマルトールは放出され、
甘い香りがするそうです。
落葉した葉は、
できれば掃いてすぐには処分せず、
甘い香りを存分に楽しみたいものです。
植え付ける場所は、
日当たりと水はけのよい土壌の場所が
良いでしょう。
本来水辺に育つカツラですが、
公園や街路樹でも
逞しく育っていますので、
庭植えしても水分環境は
全く問題ありません。
本来大きくなる樹種ですので、
できれば広々とした主庭に
シンボルツリーとして
植え付けることをお勧めします。
是非ご自宅のお庭で、
ハート型の愛らしい葉姿と、
秋の甘い香りを
味わっていただきたいです。