【中木】 プリペット(セイヨウイボタノキ) Ligustrum sinense 〈半常緑広葉樹〉
「プリペット」、何の名前だろう?
という感じの響きですね。
日本に自生するネズミモチや
イボタノキの仲間です。
近年私たちの身近に
たくさん植えられるようになった
プリペットをご紹介します。
日本で広まった「プリペット」という名前、
実は「プリベット(privet)」の誤りなのです…
(「privet」は、
英語で「イボタノキ」を意味します。)
しかし今や日本では広く
「プリペット」の名が広まってしまい、
訂正される動きもないので、
このまま「プリペット」で話を進めます。
プリペットは近年、
オープンスペースから個人邸に至るまで、
様々な場所で用いられるようになりました。
常緑性の中木で
柔らかな雰囲気を醸し出す株姿が
日本人に広く受け入れられたのだと思います。
中国・台湾・ベトナムが原産のプリペット。
学名の種小名「sinense」からも
そのルーツがわかります。
(sinense=「中国の」)
原産地をみてもわかるように、
プリペットは亜熱帯の気候を好みます。
ですので、都心や神奈川、千葉などでは
冬場も常緑の姿を保ちますが、
それらの場所より冬の気温が下がる
茨城県南エリアでは、
冬期は半常緑の姿となります。
根付いた状態であれば、
冬の寒さで株が枯死することはありません。
冬に葉を落とし始めたからといって、
「枯れたかも!?」
と慌てなくても大丈夫です。
上の写真は4月に千葉市内で
撮影したものです。
ほぼ常緑の状態で冬越ししていました。
鮮やかなライム色の大株、
本当に見事ですね。
プリペットは自生地では
2~7mにまで生長するそうです。
日本で育つ大株は、
せいぜい2~3m程度の樹高だと思います。
上の写真は低い生垣状のプリペットです。
プリペットには刈り込みにも耐えるため、
生垣用の中木として広く普及しました。
確かに、従来の日本の生垣といえば…
ヒイラギモクセイ、ツゲ、マサキ、
レッドロビン等。
プリペットの小葉で柔らかい枝ぶり、
そして葉色の明るさはやはり魅力的です。
生垣用として最も普及したのは
「シルバープリペット」と呼ばれる、
白斑の品種です。
一方、近年は
ホームセンターの園芸コーナーに
黄斑のものや、
葉全体がライムイエローの品種が
大鉢で販売されるようになってきました。
‘レモンアンドライム’が
代表的な黄斑の品種です。
また、これとは別に
‘レモンライム’という名称で
斑の入っていない、
ライム色の葉色の品種もあります。
ややこしいですね…。
性質はとても強く、
病虫害も殆ど見られません。
枝が徒長した場合は
適宜カットすれば大丈夫。
それ以外は殆どメンテナンスフリーです。
そして!生垣に仕立てると
枝をカットしてしまうため、
あまりお目にかかれないのですが、
自然樹形で育てると、
この美しい花も楽しめます。
個人的には、
イボタノキやプリペットの花が大好きです。
主張しすぎず、
気がつくと初夏にひっそり咲いています。
上の2枚の写真は、
基本種のLigstrum sinense(緑葉)の
満開の花です。
白斑や黄斑の品種は、
カラーリーフプランツとして
葉が主役になりがちですが、
緑葉の花が咲くと、
白花がグリーンに映えてこれもまたよし!
ですよね。
こちらはプリペットの実!
小さな葡萄の房のよう。
なかなか味わい深いですよね。
鳥もよく食べてくれます。
花や実、自然樹形を楽しむもよし、
生垣にして優しい葉姿を楽しむもよし。
様々なシーンで大活躍のプリペット、
是非育ててみてください。