【低木】 アオキ Aucuba japonica 〈常緑広葉樹〉
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アオキという樹木の名前を、
皆さん一度くらいは
聞いたことがあるかと思います。
地味、日陰…
従来のアオキのイメージは
このような感じだと思います。
しかし、アオキを侮ることなかれ!
日本よりもむしろ海外で大人気のアオキ。
明るい葉色や奇抜な葉の模様が
次々と海外で生み出されました。
それらが日本に逆輸入され、
日本でもその価値が見直されつつある
アオキをご紹介します。
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ブルーグレーの葉色、
クリームイエローの中斑と散斑、
とてもモダンな雰囲気です。
(アオキ‘ピクチュラータ’ Aucuba‘Picturata’)
アオキは日本各地と朝鮮半島が原産。
学名の「japonica」がそれを物語っています。
原産地日本ではありふれた植物だったため、
さほど人々の関心も
アオキに向かなかったのだと思います。
一方、海外、特にイギリスでは
常緑で照葉、赤い実を付けるアオキが
とても新鮮に映ったのだと思います。
元々イギリスは固有の植生が乏しく、
それが園芸大国イギリスになる原動力でした。
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アオキがイギリスに導入されたのは
17世紀末頃。
その頃からエキゾチックな雰囲気を持つアオキは
人気を博していました。
しかし、イギリスに導入された個体は
「雌木」だけだったそうで、
(アオキは雌雄異株)
鮮やかでつややかな赤い実は
雄木がなかったため、
イギリスでは楽しむことができませんでした。
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時を経て、19世紀半ば。
スコットランド出身のプラントハンター、
ロバート・フォーチュンは
日本を訪れた際、
念願のアオキの雄株を入手。
本国イギリスで雌株のそばに植え付けて
赤い実を実らせたそうです。
イギリス人の、
アオキの実に寄せた想いが伝わってくる
エピソードですね。
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こちらはアオキの雄花です。
ひとつの花は直径1cmほど。
まさに今ごろ、3~5月に開花します。
遠目で見ると目立たないのですが、
何ともシックな花色。
雄蕊と花弁のコントラストも見事です。
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一方、こちらは雌花です。
花色や花の形は似ていますが、
花の部分をよく見てみると
雄花は雌しべが退化しており、
雌花は雄しべがないので区別できます。
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散斑の葉と深いワインレッドの花色の
コンビネーション、本当に素晴らしいです。
アオキはミズキ科。
庭木として広く知られる
ヤマボウシもミズキ科です。
花弁の形状が、
確かにヤマボウシのミニチュア版のように見えます。
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こちらは、花芽が展開するところの写真です。
まだ雄花か雌花かはわかりません。
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本当に近づいてよく見てみないと、
花の様子はわかりませんね…。
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瑞々しく明るい色の新葉の展開も
また素晴らしいです。
季節によって表情を豊かに変えるアオキ、
「地味だから」と高をくくってはもったいない!
海外では、アオキは常緑で照葉、
赤い実も美しく、
しかも植木として性質強靭で扱いやすいことから
「パーフェクトプランツ」と呼ばれています。
耐陰性もかなりあることから、
室内で「観葉植物」として
扱われることもあるそうです。
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アオキの園芸品種は、
葉の形がずんぐりとしていて面白い
「達磨型」のものや、
外斑、中斑、散斑、
散斑の入り方が少ないタイプ、
細葉…と実に様々です。
日陰地をぱっと明るくしてくれて、
丈夫に育つアオキ。
日向でももちろん育ちますが、
夏場の強い日差しで
葉が焼ける場合もあります。
樹高は大きくなると2~3mほど。
苗木では小さいものから流通しています。
斑入りの品種の方が葉緑素が少なく、
生長のスピードはゆっくりです。
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そしてやはり、
冬の庭を彩る赤い実は欠かせませんね。
園芸店で苗を購入される際は
「雌木」であるかどうか、
チェックをお忘れなく!