【中木】 ゲッケイジュ Laurus nobilis 〈常緑広葉樹〉
こんなに愛らしい、
優しい花を付けるゲッケイジュ。
ちょうどソメイヨシノの花が
終わりを迎える頃です。
一家に1本、植えて損なし!の
ゲッケイジュをご紹介します。
ゲッケイジュといえば、
この葉のイメージですよね。
地中海沿岸原産のゲッケイジュは
独特の硬い革質と、
波打つ葉の縁が特徴です。
日本には明治時代に渡来しました。
ベイリーフ(bay leaf)は、
沿岸育ちであることから名付けられた別名です。
「ローリエ」の方がより一般的な別名ですね。
ゲッケイジュはギリシャ神話に登場し、
古代から人類と密接な関係を持つ樹種。
聖なる樹木として神聖視されてきました。
やはりその葉の香りは、
古代の人々にも
特別な印象を与えていたのだと思います。
現代の私たちにとっては、
カレーやシチュー、煮込み料理に
乾燥した葉を入れると、
風味豊かに、美味しくなりますよね。
庭先に植えて
料理の最中にちょっと1、2枚…
と思うのですが。
生のローリエの葉は苦みが強く、
香りも弱いので料理には適しません。
残念。
盛夏の朝方に大きな葉(古い葉)から採取し
2~3週間乾燥させると、
いつも料理で使うローリエの出来上がり。
枝ごと剪定して干しておいても大丈夫です。
上の写真のように
スタンダード仕立てにするために、
夏場に枝を剪定するのも良いですね。
ゲッケイジュはそのまま放置すると、
樹高が5~10mほどになります。
やはりこまめに剪定して
ご自宅で葉を使ったり、
ご近所に配るのがベストですね。
ゲッケイジュは雌雄異株。
上の2枚はゲッケイジュの雄花です。
こんもり、もこもこしていて
何とも愛らしいですね。
葉も料理に使えますが、
花もなかなか良いものです。
こちらの2枚は雌花です。
雄花よりもすっきりとした印象。
清楚で味わい深いです。
(縁が波打つ硬い葉との
コンビネーションも抜群です)
これらの雄花と雌花は
筑波実験植物園で撮影しました。
隣同士に植えられているので
受粉もたやすく、
秋にはしっかりと実が付くと思います。
ミモザの花は
華やかな黄色で春の訪れを告げますが、
ゲッケイジュは
美しいマットで硬い葉、
クリームイエローのこんもりとした花姿で
とても上品な印象です。
学名に「nobilis」とありますが、
これは「上品(noble)」からきているそうです。
なるほど納得です。
ゲッケイジュは日当たりを好みます。
しかし半日陰の場所でも
耐えてゆっくりと育ちます。
土質は水はけがよければ、
さほど選びません。
根付くまでは乾燥は禁物ですが、
根付いてしまえば
乾燥気味でも全く問題ありません。
茨城県南エリアでは問題なく冬越しできますが、
「筑波おろし」が吹く時期に
きちんと根付いていないと、
枯れてしまう恐れがありますので
ご注意ください。
刈り込みにも耐えますので、生垣や
先ほどご紹介した写真のように
スタンダード仕立ても良いと思います。
料理にももちろん使え、
春の花姿も上品。
ゲッケイジュ、
やはり一家に1本おすすめです。