【メインツリー】 イヌシデ Carpinus tschonoskii 〈落葉広葉樹〉
見てください、この美しい葉脈を!
新緑のイヌシデはもう、これに尽きます。
庭木としてはあまりメジャーではなく、
しかし雑木林などでは普通に見られる、
おすすめのイヌシデをご紹介します。
イヌシデは
北海道と沖縄を除く日本各地の雑木林で
普通に見られる落葉高木です。
大木になると樹高10mを超えますが、
近年の雑木の庭ブームで
苗木の流通もあります。
イヌシデは
花が特徴的、葉の形が面白い、
紅葉が格別…といった、
いわば「一芸に秀でた」タイプではありません。
しかし、樹形は整いやすく、
単木で植え付けても絵になる、
なかなか頼り甲斐のある樹種です。
全体の株姿は上の写真のような感じです。
この個体は剪定の手が入っています。
樹高が高くなれば剪定が必要ですが、
広いお庭に、このイヌシデを1本、
あとは広々とした芝生…
という組み合わせでも、
見劣りしない、絵になる樹種だと思います。
白壁のシンプルな戸建てにも
ぴったりだと思います。
こちらは芽出しの様子です。
葉と花はほぼ同時に展開します。
この後、5~8cmほどの雄花の花穂が
垂れてきます。
…素朴、ですよね。
新芽が赤いとか、花が華やかとか、
そういう、劇的で華やかな姿は
イヌシデにはありません。
そこがイヌシデのいいところ!
なんですよね。
新芽はふわふわとした印象。
葉の表側には少し伏毛があります。
花の写真がなくて申し訳ありません…
上の写真が果穂の様子です。
5~6月頃にはこのような姿が見られます。
イヌシデの名前の由来として、
この花穂を「四手」
(神殿に捧げる玉串や注連縄に付ける
白い布や紙で作られたもの)
に見立てているそうです。
確かに!そう言われると、
イヌシデの花穂が優雅で神聖に…
見えてきました。
秋にはこの花穂は熟し、
こんがりと茶色に色づきます。
そして、秋の黄葉!
とてもクリアな黄色に色づくイヌシデ、
青空によく映えます。
シンプルでくせのない姿。
それこそがイヌシデのセールスポイント。
飽きのこない、独特の存在感です。
日当たりを好み、土壌はさほど選ばず、
樹形も自然に整います。
もしご自宅のお庭に
広々としたスペースがありましたら、
イヌシデをぜひ1本!