【グランドカバー】 フッキソウ Pachysandra terminalis 〈常緑多年草〉
今年の4月上旬は気温が低く、
ここ茨城県南ではなかなかソメイヨシノが
満開になりませんね…。
早く満開のサクラを見たい思いと、
咲き急いで散ってしまうのが惜しい気持ちと、
でももう少し暖かい日があってもいいのでは…
という思いが、
複雑に入り混じった日々であります。
そんなお花見シーズン真っただ中ですが、
日陰の足元に目を向けると
ひっそりと、
しかし凛とした表情で咲いている花があります。
今回はそんな「フッキソウ」をご紹介します。
「フッキソウ」、
漢字では「富貴草」と表記します。
常緑の青々といた葉が
年間を通して美しく茂る様子を
繁栄に例えて
このように表現したと言われています。
その名の通り、
性質強靭でよく繁茂するフッキソウは
グランドカバーとして古来日本の庭には
欠かせない存在でした。
現代の庭においても、
フッキソウにとって代わるような植栽の材料は
あまりないように思います。
フッキソウは
日本各地の山地の林内に自生しています。
日陰でもよく育ち、
冬場でも葉が傷むことなく
一面を密に覆います。
公園、オフィス街の緑地、戸建住宅の庭…
これまで様々な場所で
様々な季節に植栽を行ってきましたが、
「困った時のフッキソウ!」と、
何かと頼りにしてきました。
まず、性質が強靭であること、
季節を通して美しい緑の葉が保たれること、
和洋を問わず、周囲の植栽に溶け込むこと、
植物の葉色やフォルムに自己主張が少ないこと。
そしてこれは大きなポイントですが、
植物材料として、
価格が比較的安価であること。
これだけの条件を揃えた草本類
(正確にはフッキソウは亜低木なのですが)は
やはりぱっと思い浮かびません。
ありがとう、フッキソウ!
と改めてお礼を言いたいです。
そんな優れもののフッキソウ、
クリーム色の外斑が入る品種もあります。
こちらを植栽に加えると
日陰の庭がぱっと明るく、
そして更に洋の庭に馴染むようになります。
上の写真は、つくば市の
洞峰公園で群生しているフッキソウです。
よく見ると、
中にツワブキの丸く大きな葉が
ちらほら見えます。
地面は固く、大木の足元で半日陰の状態。
しかしもりもりと立派に育っています。
花はまさに今、
3~5月頃開花します。
実は花弁のように見える白い部分は
「萼片」で、
花びらはありません。
どこまでも控えめ、
シンプル、ストイックです…。
皆さん是非、
脳裏の片隅に覚えておいて頂きたいです、
困った時のフッキソウ、です!