【低木】 シャクナゲ(園芸種) Rhododendron hybrids 〈常緑広葉樹〉
花木の女王…気高い雰囲気、圧巻の花姿!
こんな花が自宅の庭に咲いたら、
ちょっと、いやかなり気分が上がりますよね。
永遠の憧れ、
しかし近年育てやすい品種も随分と増えた、
シャクナゲをご紹介します!
シャクナゲの原産地は
ネパールやブータンなどのヒマラヤ山麓から
アジア、ヨーロッパ、北米と
広範囲にわたります。
19世紀中頃、シャクナゲの原種が
プラントハンターたちの手によって
中国から欧米に渡り、
品種改良が繰り返されました。
上の2枚の写真は
園芸大国・イギリスの老舗植木屋、
Hillier Nurseryで撮影したものです。
シャクナゲの株のサイズ感、
おわかりいただけるでしょうか…。
園路沿いに延々と連なる、
シャクナゲの大木たち。
樹高はゆうに2mを超えています。
大きなものは4~5mほど。
シャクナゲの自生地では決してありません、
ナーセリーの園路です。
植えられているのは恐らく、
すべて人の手で改良が重ねられた
園芸品種です。
どれだけイギリス人は
昔からシャクナゲが好きなんだ!
と圧倒されたのを覚えています。
あまりの大木の立派さに、
ついシャクナゲの木の下に入って
写真を撮りました。
とにかく欧米では早くから品種改良が進み、
日本にも多く導入されてきました。
これらがいわゆる
「セイヨウシャクナゲ」です。
これまでセイヨウシャクナゲをはじめとする品種は
夏場の暑さにやや弱い、
というイメージがあったかと思います。
確かにセイヨウシャクナゲの交配親の殆どは
ヒマラヤ山麓や中国の山地で生まれ育ったもの。
加えて、品種改良が進んだイギリスと比較すると、
真夏の気温は日本の方がやはり高くなります。
しかし!
実は日本にもシャクナゲの原種がいくつかあり、
それらを交配親として種改良を重ねた結果、
夏の暑さに強く、日本でも露地植えで
ローメンテナンスで栽培できるシャクナゲが
多く生み出されています。
本当にうれしい限りですね。
もちろん、セイヨウシャクナゲのジャンルも
更に品種改良が進み、
より日本でも育てやすい品種が増えてきました。
上の写真はシャクナゲ‘黒潮’です。
店頭では「ブルーツツジ」と銘打って
売り出されています。
本当に澄んだ青紫で美しい!
この‘黒潮’は、ツツジ科ツツジ属の原種、
ヒカゲツツジやゲンカイツツジが
交配親に用いられているそうで、
コンパクトな株姿、
そして何と言ってもこの花色が特徴です。
私は今年の春にこの株を購入し、
早速自宅に植え付けました。
また生育状況をご報告します。
…こんなシャクナゲを見てしまったら、
ホームセンターで苗を買わずにおれません。
ここまで大木になるには
相当な時間がかかっているので、
ご自宅ですぐに!とはいきませんが。
上の写真でもそうですが、
シャクナゲは半日陰の場所を好みます。
特に西日は大敵です。
…と書いておきながら、
上の写真はつくば実験植物園の
エントランスに植えられた、
セイヨウシャクナゲの大木、
がんがん西日浴びてます(^^;)
どうなんでしょう…シャクナゲとセットで
カワヅザクラが植えられているので、
若干日除けにはなっていると思うのですが。
ここまで大きく育ってしまえば
大丈夫なのでしょうが、
幼木の頃の管理が知りたいです。
シャクナゲの根は酸素を好みます。
地表付近にたくさんの細い根を張るので、
株を浅く植えつけて、
根元を腐葉土やピートモスで覆います。
浅植えのため、
株が不安定に感じられる場合は
支柱を施しましょう。
また、シャクナゲをはじめとする
ツツジ科の品種は酸性土壌を好みます。
水はけと水もちがよい酸性土
(pH5.0~6.0程度)がベストです。
酸度調整をしていない鹿沼土やピートモスを
庭の土に混ぜ込むと良いでしょう。
また、根がしっかりと付くまでは
庭植えでもきちんと潅水を行います。
根付いた後は、夏の高温期や、
極端に乾燥した冬場には
水やりを行ってください。
潅水の際には、根元だけでなく
葉全体に水がかかるように与えるとよいでしょう。
ふくよかに膨らんだ蕾、
ドキドキしますね!
シャクナゲは枝ぶりがシンプルで
数が少ないため、
花芽の数も枝数に比例して
少なくなりがちです。
余裕があれば「芽かき」という作業を行って
花数を増やし、
株をゴージャスに仕立てましょう。
もし春先に1本の枝から
1本の新芽しか伸びてこなかった場合は
なるべく早く、
芽が伸び始めた時点でかき取ります。
そうすると、脇から複数の芽が出てきて
花数が増えます。
もう一つ、
行うとますます株が良くなる作業が
「花がら摘み」です。
シャクナゲの花は
大ぶりでとてもゴージャス。
その分、株は体力を消耗します。
なるべくそのダメージを少なくするために
花が終わったら速やかに花がらを摘み取り、
種が育ってしまうのを防ぎます。
花がらを摘む際は、
花茎の付け根の部分から摘み取ります。
ソメイヨシノが咲き誇る頃、
全く趣を異にする、
ゴージャスで華やかなシャクナゲの花。
現在5,000種を超える園芸品種が
作出されているそうです。
最終的な樹高のサイズや花色、
葉色も様々なタイプがあります。
是非じっくりと、
お好みのシャクナゲを見つけて
お庭に植えてみてください!