【中木】 ムクゲ Hibiscus syriacus 〈落葉広葉樹〉
今年の梅雨は長引いている印象があります。
毎日、ずっと曇りか雨…(^^;)
そんなどんよりとした雰囲気をぱっと明るくしてくれるのが、
今回ご紹介するムクゲです。
古くから日本人に愛されてきたムクゲ、今まさに満開です!
ムクゲの原産地は中国とされていますが、
あまりはっきりとしたことはわかっていません。
漢字で表記すると「木槿」、
日本には平安時代に導入されたと言われています。
お隣の韓国ではムクゲの花は国花とされ
(法的には定められていないようですが)、
国章にも描かれています。
日本とムクゲ…といえば、やはり「茶の湯」です。
千宗旦(千利休の孫)が好んで用いたムクゲ、
上の写真はまさにその名を冠した「宗旦」という品種です。
純白の花弁、花の中心部が鮮やかな赤に染まる姿はとても印象的です。
この花の中心部が赤に染まる様子を「底紅(そこべに)」と呼び、
「木槿」と語らずとも、それ自体で俳句の秋の季語となっています。
また近年人気なのが半八重や八重咲きの品種です。
一重咲きとはまた印象が全く違いますね。
我が家にも「ピンクディライト(‘Pink Delight’)」
という品種がありますが、
本当に毎年良く咲いてくれます。
梅雨時、庭の中で花数が少なくなり、
天気もあまり冴えない中、
ムクゲの花の存在は本当にありがたいなあ!と毎年思います(^^)
上の写真は‘紫玉(しぎょく)’という品種。
見事な花色、これは一際目を引きます!
‘紫玉’以外にも、ムクゲにはブルー系の花色の品種が
数多く存在します。
蒸し暑いこの季節にクールな花色、いいですよね!
こちらは白の斑入りのムクゲです。
花のない季節も楽しめる優れもの!
花色も数種バリエーションがあります。
ムクゲの花期は7~9月。
花付きは抜群で次々と花を咲かせます。
ただ、一つ一つの花の寿命は短く、1~2日です。
この儚さも、茶の湯で好まれる理由だと思います。
葉の雰囲気はこのような感じです。
葉には浅い切れ込みが入りますが、
その深さや形状は不規則。
花のない時期も柔らかい印象を与えます。
樹木自体が若い時は、
箒状に、縦方向に枝を伸ばすイメージです。
狭いスペースにも収まりよく育ちます。
上の写真はかなり年季の入ったムクゲの大木!
最終的には樹高は3~4mまで生長します。
シンボルツリーとして植え付けても良いサイズ感です。
性質はとても強靭で耐寒性も耐暑性も抜群。
茨城県南エリアでは問題なく生育します。
萌芽力が強いため、生垣にも最適なムクゲ。
剪定の際は神経質になる必要もありません。
花芽形成は6月以降ですので、落葉する前年の晩秋から冬、
遅くとも4~5月ごろまでに剪定を行うと、
当年の花を楽しむことができます。
古来愛されてきたスタンダードな品種ですが、
改めて見ると、本当に美しい花姿ですよね。
梅雨時に一服の涼をもたらしてくれるムクゲ、
是非お気に入りの品種を探してみてください!