【低木】 ギョリュウバイ Leptospermum scoparium 〈常緑広葉樹〉
八重咲きの濃いチェリーピンクの花姿、
葉もパープルリーフでシックです。
この低木、和名は「ギョリュウバイ」。
花の印象と名前にギャップがありますよね。
中国原産のギョリュウという低木に
葉の姿が似ていて、
花姿はウメに似ているので
この名が付きました。
日本でよく植えられているギョリュウバイは、
上の写真のように
八重咲きの品種が多いように感じますが、
確かに一重のギョリュウバイの花は
花弁が丸く、5枚で梅の花に似ています。
名前の由来はともかく、
個性的な花色・花姿で庭を華やかに彩る
ギョリュウバイをご紹介します。
ギョリュウバイの原産地は
オーストラリアやニュージーランド、
東南アジア。
特に女性の方ならば
「マヌカハニー」の蜜源、と言えば
ピンとくる方もおられるのではないでしょうか。
原産地では「マヌカ」と呼ばれる
ギョリュウバイの花の蜜は、
その高い殺菌能力から、
古来原住民たちに大切に扱われてきました。
自生地に育つマヌカの花は
一重咲きで純白の清楚な花姿。
私たちが普段日本で目にする
ギョリュウバイは、
80を超えるLeptspermum属の間で交配が行われ、
大量に生み出された園芸品種です。
日本ではギョリュウバイの「品種名」を掲げて
販売しているところがあまりありません。
「白花一重」や「桃花八重」など、
何だかざっくりとしています。
下のリンクをご覧になれば、
そのギョリュウバイのバラエティー豊かな花姿が
一目瞭然です。
(きちんと品種名が明記してあります)
http://www.terrain.net.nz/friends-of-te-henui-group/leptospermum-scoparium-cultivars.html
上の写真は
筑波実験植物園のギョリュウバイです。
手前と奥の2本とも、
かなり年季の入った大株。
生長はゆっくりですが、
最終的には2mを超える樹高になります。
耐寒性は-7℃程度まで耐えると言われていますので、
茨城県南エリアでは越冬可能です。
花期は4~5月。
直径1cm程度の花が枝にびっしりと付きます。
八重咲き品種は華やかで洋風の趣、
一重咲き品種はまさに
ウメの花を小さくしたような風貌で
とても愛らしい花姿です。
葉は細くて小さく、先端は尖っています。
針葉樹の「ネズ」に葉が似ることから
「ネズモドキ」の別名もあります。
基本種は葉色は緑ですが、
上の写真のようにパープルリーフの品種もあり、
花のない時期もその個性を存分に発揮します。
ギョリュウバイは
日当たりと水はけのよい土壌を好みますが、
水切れには注意が必要です。
よく開花の時期にホームセンターなどで
鉢植えにされたギョリュウバイが
販売されていますが、
鉢植えの場合は特に、
水切れで枯れるパターンが多いです。
自生地でも
湿った環境を好んで生育しています。
しっかりとした成株に育った際は
さほど心配ありませんが、
特に幼木の時期は
水切れしないように管理します。
環境が合えば、
樹形は箒状に上に伸びて育ちますので、
さほど剪定の必要はありません。
夏には翌年の花芽が形成されますので、
樹木がサイズオーバーしたと感じた際には
5月までに剪定を行うと、
翌年も開花してくれます。
原産地が南半球ですので、
今人気のオージープランツとの相性も抜群。
春先の庭を華やかに彩るギョリュウバイ、
是非お庭に植えてみてください。